検察は動いてもよかった
ちょっと込み入った話かも知れません。
まずは話の前置きです。
最近、「ビットコイン・マイニング裁判」というのがありました。
自分のサイトに仕掛けを作って、アクセスしてきた人のコンピューターに作業をさせた。それが電子的な乗っ取り行為であったかどうかが争われている裁判です。
一審では検察の敗訴。
「広告などと同じで、パスワードを盗んだり改ざんをしたわけではない。これは広告を貼ってパソコンにそれを表示させているのと同じ、」
そんな風に上手く弁護側が主張したのでしょう。
検察はこれに控訴し、高裁の判断は「やはりこれはユーザーに利益がないことだから、事実上の乗っ取り行為である」、そんな判決が出たようです。
被告は上告するようです。
それにしても、これは法的に難しい裁判だと思います。
色んな議論が考えられます。
こんな難しい事件をよく検察は立件したものだと思います。
とても頑張った(笑)。
今は「サイバー犯罪」の時代です。検察でもそうした人材育成がされています。
「コンピューターを利用した犯罪にも毅然と立件をしていく」、そういう検察のメッセージのようにも思えます。
では、本件はどうでしょうか。
本件、前市長は個人の財産権を侵害し、相手方から賠償請求をされて支払いが命じられました。
この裁判の事実認定によって、前市長は威力業務妨害という犯罪が認められたのです。
だから、検察は、前市長の威力業務妨害事件として立件してもよかったのです。
もし、こういう行政の長の暴走、権力の暴走に対して、法治国家として歯止めをかけるため、検察は積極的に動かなくてはならなかった。
なぜやらなかったのか。
威力業務妨害について気がつかなかったのか。
被害届が被害者からでなかったから立件しなかったのか。
被害者は被害届をだしても賠償訴訟とは別です。一文にもならないことをわざわざやってはくれない。
なぜ、検察は「市の犯罪」として、その執行長の立件を考えられなかったのか。
いずれにしても検察が動かなかったことは間違いでした。
今から告発するには時間的には遅いでしょうが。
「市長といえども法にもとづいて執行せよ」、
もしやっていれば、そういう明白なメッセージを送れたのだと思います。
今回の議員らによるその債権放棄ですが、告発はさすがに無理です。
債権放棄については法に規定がありますので、違法かどうかは裁判で争うしかありません。その解釈の問題になります。
住民訴訟という制度もありますので、検察が立件してくれるとは思えません。
まあ、やったっていいとは思いますけれども。