子供を守るために
前回の話を補足してもう少しだけ続けたいと思います。
子供が学校以外の外界の影響をできるだけ受けないようにして、自由に自分の人生を獲得してゆくというのはとても難しいことです。
自分で歩き、言ってみれば足の指先が土や草に触れるその感触だけで育ち学べてゆければいいのですが、どうしても余計な干渉が起きてしまいます。
どこでも大人との接触が少なからずあり、ネットやメディアからの刷り込みというものさえ待ち構えているのが現代というものです。
そしてそのようなネットやメディアには「プロパガンダ」が溢れています。
「プロパガンダ」というものは剥き身で人に向かってくるものです。未成熟で他の考える知識に乏しい子供にはやはりまだ早く危険なものです。
難しい言い方になってしまいますが、子供がこういうものの影響を受けてしまうと、本来なら「純粋哲学」でなければならない成長期特有の自分への問いかけが歪んでしまうことがあります。
外の世界に影響を受けていつしか「純粋哲学」が「経験哲学」になってしまいます。
つまり、まだ経験の少ない子供が、自分の経験でないものを自分で獲得したものと錯覚してしまい、勘違いしたまま中身のない価値観を身につけてしまうのです。
そうして、それは進路や性格、選択の傾向、好み、世界観、趣味、それらが何かしらの影響を受けてしまうことになります。
こうしたことをできるだけ避けるにはどうしたらよいのでしょう。
私の考える答えは、
「ちゃんと大人として子供を扱い、子供にもそう振舞ってもらうこと」
それだけです。
そうすれば影響を受けやすい子供というものは「大人の仮面」を身につけることができます。
一人前の大人として、タテマエにしてもそう扱ってやれば、少なくとも干渉から自我が無防備ということはないでしょう。
実は昔はそうやって子供たちは生意気に振舞って、身を守ってきました。
大人の言うことを馬鹿にして、自分というものを守ってきました。
そういう一種の知恵は昔は普通に授けられたものです。
もちろん、親や教師、身近の大人が子供に教えてやることは大事です。
本も大事な教材です。
それと地域や他人からの干渉というものは区別して考えるべきだと思っています。
今はそういう子供が自分を守る知恵があまり伝えられていないだけに、私はそう思います。